株式会社 Miki インタビュー

それでは、まず事業の紹介をお願いできますか。


弊社は洋菓子の製造と販売を行っています。現在は状況が少し変化していますが、基本的には地域の原材料を主に活用し、商品開発、製造、販売を行っています。特に地域の原材料に関しては、直接契約を結んでいます。現在は主にミカンです。契約農家や契約栽培業者と直接取引しています。 

株式会社Mikiの皆様

ありがとうございます。次に、弊社の強みについて教えていただけますか。


本社の強みは、商品開発にあります。具体的には、添加物を極力抑えた商品を製造できることです。例えば、クッキーに関しては、製造時に添加物がありません。他の焼き菓子でも、一般に比べて何分の1から10分の1以下の添加物量にするように常に努力しています。安全性や品質に凄くこだわっています。 

次に、DXプログラムについての参加理由を教えていただけますか。


食品業界は世間の他業種と比較し約20年遅れていると感じています。例えば食品表示法などの法律の遵守、働き方改革などの課題が山積みです。そこで、DXプログラムを導入して効率化を図り、個々人のスキルアップを図りたいと考えました。このプログラムが組織全体の軸になり、従業員の<意識改革>や情報共有を進めることができると思います。 

株式会社Miki 代表取締役 三鬼惠寿 氏

では、このプログラム開始してからDX推進している段階で直面している課題があればお伺いできますか。 


先ほどお伝えしたように、この業界は約20年遅れていると思っています。意識だけの問題ではなく、最低限必要な知識の習得の問題があると思います。その点において、ある程度学習している方とそうでない方、そしてまるっきりしたくない方、というように分けられていくと思うのです。最後の何割かの方がどうしてもシャットダウンしてしまっていてこちら側に引き込められていないように感じています。

ここが今、非常に悩ましいところです。 しかし徐々に進んでいるとは思います。今回のプログラムによって感じていることがあります。環境が変化することで周囲の人が否定的ではなくなっています。 そこで取り残されるのも嫌だ、というような段階に入っていただけたら、もっとスピードが上がるのではないでしょうか。

店舗周辺の商圏だけで販売しているとなると、今回のお話はそれほど大きな問題でもないと思います。しかし、お客さまが当店で商品を購入して東京に送るとか、(今は休止中ですが)通販や発送などの際に全国基準のレベルで仕事をできているのかどうか、というところまで落とし込んでいくと、毎日少しずつでも意識を変えていくことは重要です。さらに業務を楽しく行うには、どうしたらよいのかという点まで伝えていく必要があると考えています。 

DX促進の魅力について、とも言うのでしょうか。


「楽」という字は、楽をするだけではなく、楽しませるという意味もあります。また自分が楽しむという意味もあります。主語と目的を入れ替えても、楽という言葉はいろんな取り方ができると思います。代表の三鬼が方針を定め、その戦略と戦術の手法としてDX化を推進しているので、推進中に気づいてもらえることがあれば、全員で少しずつ楽しんでいくことが、できるのではないでしょうか。 

このDX促進プログラムを通して何か社内で変化はありましたか。


週20時間程度の時間給で働いていたパートナー従業員の方がいます。(現フルタイムに)この数ヶ月で最も意識が変わったのは彼女だと思います。彼女は自発的に具体的な提案や改善策を伝えてくれるようになりました。その変化が他のメンバーにも波及していると感じることがあり、時間給パートナーやママさんパートナーたちも、責任の重みやレベルの違いに関わらず、積極的に提案をしてくれます。積極的に提案しても良いと思えるような心理的安全性の高い環境が出来つつあります。本プログラムはトップダウンで参加を決めたのですが、全社に浸透しなければ効果はないので巻き込むことが重要だと感じています。誰もが、できるかわからないことでも、積極的に意見を出すことは、とても重要です。現にママさんパートナーからのアイデアを全員でまとめ、具現化する企画が出てきました。それは現在の弊社にとって非常に貴重な財産になると思います。具体的な提案や意見を協議できる時間や場を創るには、DX化によるもう一つの目的である時短化や省力化が、必須であると感じています。 

株式会社Miki 取締役 都築弘治 氏

それではこれから後半に移っていくにあたってどのようなことを考えられていらっしゃいますか。


今まではパズルのような形でやってきたと思います。周りの枠組みが埋まって、少しずつ真ん中も埋まってきて。まだ完成系に近づくまでには時間がかかります。その点で、先ほどもお話したとおり意識改革という意味での変化は、少しずつ結果に現れていますので、ここからさらに枠組みを再検討し、具体的な実践と検証に移っていきたいと思っています。 

それでは今回のプログラムに参加してみて良かったことがあれば教えてください。


本当に参加してよかったなと思えることは「人って変わるんだ」と思えるようになったことでしょうか。

意識が少しでも前向きだと、嫌なものを良い方向に強引に持っていくのではなく、”一緒に考えていく”という姿勢になると思います。細かいことになりますが、例えば、ディスプレイです。現在、店舗に入ってすぐの位置に商品を展示しています。これはその時に従事できるメンバーに自由に改良するようにお願いしています。 特別型にはめる必要もないと考えています。改良後に万が一、売上が取れなかったとしても、責任は承認した我々役員にあるのだから、思い切ってやって欲しいと伝えています。最初は、反対も多かったのですが、 これまでやってみて少しずつでも成果が現れてくると「じゃあこういったことはどうでしょうか?」「ああいったこともしたい」というように、積極的に工夫の提案が出きています。 

工夫や提案を迅速に具体化できるように共有化が必要になります。ペーパーだけでは、紛失や汚損もあります。早期、デジタル技術を活用した共有化も必須になってくるでしょう。その入口がDX化支援であると感じています。 

それでは最後の質問ですが、これからDXの第一歩を踏み出す企業に対して、何かアドバイスをお願いします。


DX化の本来の目的を間違えないことだと思います。どうしてもアルファベットが入ると、パソコンだ、デジタルだ、WEBだ、と情報機器等を活用した時短や省力化、業務改善に行きがちです。でも、<その前にしなければならないことがある>ということです。 

まずは事実を事実として受け止める必要があると思います。そうしなければ前に進まないというのは、この支援を受けた時からずっと言い続けてきたことです。では何をしなければならないのか。もちろん具体的な提案などは、専門の方にお願いするのですが、その上でトップが果たすべき役割は、問題を直視して、それを迅速に解決できるかについて考えることが、第一だと思います。 

そして、否定的ではなく肯定的な物事の捉え方にシフトすることも重要だと考えています。DX化なんて、難しいから嫌だ。近い将来必須で、支援があったとしても、今は手を付けたくない。そう思う経営者の方は多いと推察しています。弊社に例えると、赤字を出し続けている商品があって、それを否定的に捉えてしまうと、では値上げをしましょう、販売を中止しましょう、となりがちです。そうではなく、他の黒字商品との組み合わせによって利益が生まれることもあります。お客さんも異なる商品の美味しさの違いや変化なども楽しむこともできます。それは会社に所属する従業員さん達も同じでしょう。 

株式会社Miki 取締役 都築弘治 氏

最後に、結局は支援者さんがどこまで寄り添ってくれるのかどうか、またその方との信頼関係がすごく重要だと思います。 

特に初めのキックオフミーティングで最も記憶に残っているのが「そこまで大事に構える必要ない」と伝えて頂いたこと、そして「”DX”というとアルファベットで書かれていますが、そうではなく株式会社Mikiが捉えるとしたら、DX化とは、どのようなことですか」と訊いて頂いたことです。 

株式会社Mikiの皆様

それは「DXを具現化する前から考えていく必要があるのです」という問い掛けだったのだと思います。  

零細企業の弊社でも「DX化しませんか」と営業されます。業務改善やDX促進で実績があるという企業さんから御提案を頂いた際に、受け手側の企業規模観に合わせた本質というのを伝えて頂かなくて、「結局はなんだったの」で終わってしまいました。その点を考えると、弊社はすごく良い巡り合わせだったと思います。