中田食品 株式会社 インタビュー

中田食品株式会社 営業本部 DX推進課の皆様

では、まず簡単に事業の説明をお願いできますか。


当社は創業127年続く梅干し・梅酒・梅加工メーカーで全国シェアの約20%を持つリーディングカンパニーとして事業を展開しています。和歌山・紀南地方は全国の梅生産量の約7割を占め、梅産業は基幹産業となっています。梅に携わる農家は多く、関連企業も約200社あります。弊社は容器メーカーやダンボールメーカー、ラベルメーカーなど様々な地元企業と協力し、紀南地域に貢献できる事業を展開しています。

最近ではSNSでの発信も話題になられていますね。

それでは今回なぜこのプログラムに参加することに決められたのでしょうか。


これまでの取り組みは社内で一定の評価を得ていましたが、その価値が一般的にどう評価されるかについて考える必要性を感じていました。これまで改善を進めてきましたが、特に大規模なプロジェクトになると、現場の業務や当たり前の作業を効率化する必要性についてチームに十分な説明をする必要がありました。しかし、まず導入を行うとなると書類の入力などの新たな作業が発生します。こういった状況を県の関係者に説明したところ、本DXプログラムの情報をいただきました。サポートを受けながら効率的に結果を見据える行動ができる良い機会だと考え、今回参加を決めました。

現在本プログラムの中間地点を迎えられていますが、社内で変化はありましたか。


業務が従来の手法に依存しており属人化の問題が多く、そういった体制が本来の要求を吸い上げられているのか疑問に思っていました。そこで今回は若手にヒアリングを行い、システムの導入に取り組んでいます。サポートを受けながら問題点を明確にし、現在改善結果が少しずつ見えてきています。

中田食品株式会社 営業本部 DX推進課 小串 慎一氏(左)

特に現場の方々にメリットを伝えるのが難しいのですが、改善の成果が見えると協力的になり、その影響が水平に広がっています。プロジェクトの進捗については、3-4ヶ月では結果を出すことが難しいと認識していますが、5か年計画の視点で実施していくことで、徐々に効果を上げていく考えです。

DX推進する上で直面した課題はなんでしょうか。


例えば生産管理などにおいてもどうしても各個人においてスキルに差はあるので、一緒に作業する方とのペースを合わせることが難しいと感じています。チームメンバーにやる気を持って取り組んでもらうためには、スケジュール感を調整したり、メンバーと合わせたレベル感での行動が重要だと感じています。

新しいシステムを導入するとユーザーの管理が必要になります。もちろん現場の方は従来の仕事を行う上でDX推進に取り組んで頂くわけなので、そのための時間を割いて頂けるようなところにコミットしていくというような方針に現在はなっています。便利なツールが導入されたのでただ入力して終われば良い、ということではないと思うんです。それを徐々に各個人の自分ごとにしていくための取り組みが難しいと感じています。

中田食品株式会社 営業本部 DX推進課 浅里 昌宏氏(右)

それらの課題を解決するため、どのように工夫された点があればお聞かせください。


当社はDX推進を行う以前から”ボトムアップ形式”で現場の課題を解決してきました。その部分は生かしながらやっていきたいと思っていて、一部のITリテラシーが高い社員が率先して目的意識を持って取り組むという形ではなく”ボトムアップ形式”で現場の問題点を共有し、一緒に問題解決を進めるスタイルを生かしながら進めています。

本プログラムの中間地点を迎えて、具体的に変化はありましたか。


まず始めに、社内情報サイトを構築しました。これは初めての試みで、最初は誰が見るのかという疑問があったんですが、意外にも効果が大きかったんです。例えば、現場だとわざわざ見に行くことがないような小さな成果もみんなに見てもらい、「これすごいでしょ」と思ったことにみんながいいねをつけて評価される循環が生まれました。見える化させることが重要で「こんな過程で、こんなことが出来るようになりました」という流れを評価してもらいやすい環境を作ることで、新しいことを始めやすくなってきました。

中田食品株式会社 営業本部 DX推進課 大行司 義隆氏(右)

参加されたメンバーの方や関係者の方に、変化は生まれたのでしょうか。


今のチームができて約1年半になります。もともとはITリテラシーが高いメンバーを中心にノーコードシステムを導入するという形で考えていました。その結果男性が多くなってしまい、加えて各メンバー自身の仕事にも時間を割く必要があるため、その導入も片手間ではいかなくなりました。それでは一度開発したシステムも手が回らなくなってしまい、結局また属人化してしまうのではないかというところで、女性の社員に運用を任せる取り組みを始めてみました。お任せしたメンバーたちはプログラムに詳しくはなかったのですが、僕らが考える以上に面白がって改善を行って頂き、最終的には当初予想していなかったような結果に繋がりました。この事例をうまく持っていければ、まだあまり触ったことのない社員でも「入力するとこんな結果が出てくるじゃん、もっと詰めていこう」と、気軽に発見できるのではないかと思っています。

本プログラムの後半は、どのようなことに取り組んでいきたいですか。


よくあるケースとして、DX推進を行った結果「フローを見直して自動化し、経費を削減して終わり」になってしまうことが少なくないと思います。しかし、昨今ライフワークバランスという風によく言われますが、当社は「きちんと残業が減って生産効率が上がって、給料が増える」ことにまで繋げていきたいと思っています。そうやって目的とすることで新しい人に入って頂けるような風通しの良い循環的な環境を作りたいと考えています。

中田食品株式会社 営業本部 DX推進課 榎本 淳司氏(中央)

それでは本プログラムに参加して良かったこと等があれば教えてください。


そうですね、このプログラムの中でもっとも変わったという点は組織改革だと思います。当初は大きな案件になってつまずくようなところも多かったのですが、こうやってDXプログラムに選んでいただくことによって他のメンバーも「そんなことをやっているんだ」という風に意識も変わりますし、その結果何か課題があったときにDXでのアプローチに取り組みやすい環境に変わってきました。我々としてはそれを追い風にいろんなことを進められるようになってきたので非常にありがたいと思っています。

最後に、これからDXの第一歩を踏み出す企業に対して、何かアドバイスをお願いします。


私が入社したのは約20年前で、当時は比較的堅い雰囲気の会社だったんです。来たメールを全てフロッピーに戻したりしていましたし、絶対にこのテリトリーを超えたらまずいよねというような雰囲気もありました。そんな状況で、決して新しく取り組んでいこうというような話は当時なかったんです。ただ会社の歴史を振り返ったときに、どの会社さんでもそうですが「一旦成功しているから今の会社がある」というところは恐らくあると思うんです。我々は約50年、60年近く前に「昔ながらの酸っぱい梅干しに味をつける」というチャレンジをしたことがイノベーションに繋がり現在まで続く成功に至ったと思っています。

中田食品株式会社 営業本部 DX推進課の皆様

このため、弊社だから出来て他社では再現性のないようなこと、うちの業種だからできてほかの業種ではできないというようなことを、我々は一切行っていないんです。なのでそういう風に新しいことを始められる可能性を持ってまずはいろんなところで手探りでも始めて頂くことがよいのかなと思っています。